今回素敵なご縁を頂きまして、ブルーボトルコーヒーのドリッパーを製造されている
佐賀・有田焼の窯元 久保田稔製陶所 久右ヱ門さんへお邪魔しました。
ブルーボトルコーヒーのドリッパーといえば、
2016年12月に独自で研究開発したというオリジナルドリッパー。
製造過程を見る中で、その緻密な設計と、
有田焼だからこそ作り出せる職人技にすっかり魅了されました。
モノづくりって、すごい!
ここがすごい!ブルーボトルコーヒーのドリッパー
このブルーボトルコーヒーのオリジナルドリッパーは、
『より多くの人に、自宅や職場などでおいしいコーヒーをハンドドリップしてほしい!』という想いから
米国の科学者チームの協力のもと開発されました。
コーヒーをドリップするって、想像以上に奥が深く、
淹れる人によって(淹れ方)で、大きく味が変わってしまうんですよね。
開発の際に着目したのは、『デリシャスネス』『一貫性』『スピード』の3つ。
それを実現したのは、一番の特徴でもある
ドリッパー内側の40本もの細かな突起したライン。
この突起によって、抽出口から遅すぎず、早すぎず、
一定の流れでコーヒーが抽出できるようになっています。
また、この1つの穴なのですが、理想の流れを作り出したというだけあって、
驚くほど、まっすぐコーヒーが落ちていくんですよ。
これによって、最もおいしいドリップコーヒーを淹れるために必要な理想の流れが生み出され、
コーヒーが本来持つ最高な成分のみ抽出されるのだそうです。
このドリッパーで初めてコーヒーを淹れた時、
いつものコーヒーが、より美味しく感じたのは、気のせいじゃないと思う。
そして、この最新技術と知識によって作られたドリッパーですが、製造は、日本。
Made in Japanなんです。
ブルーボトルコーヒーは、日本の工芸品やモノづくりをリスペクトしてくれていて、
日本磁器発祥の地として有名な佐賀 有田町の久保田稔製陶所-久右ヱ門-で製造することになったのだそう。
ちなみに有田焼の一番の特徴は、製品の厚みを薄くして軽くてシャープな形状を実現できる点だそうです。
製品の厚みが薄いと、熱伝導がとてもいい。
コーヒー抽出時にはお湯の温度を下げないでドリップしないといけないため、有田焼はドリッパーに最適なのだとか。
つくることができるという、『技術』
さて、『同じ品質のドリッパーを作る』ということ、
実は、私たちが思っている以上に、すごく大変で技術を要することなんです。
確かに、穴の大きさ違ったらコーヒーの味、変わっちゃいますよね、、。
ブルーボトルコーヒーのドリッパーができるまで
製造現場に入るとズラリと並べてあるドリッパー。
綺麗です。
ブルーボトルコーヒーのドリッパー、月に数千個は製造しているそう。
型も見せてもらいました。
コンピュータを使って作られるという緻密な型。
すごく細かくって、、
美しい、、と言ってしまうレベル。
この型ですが、ある程度(100回ほど)使うと摩耗して形が変わってくるので、
型を新しいものに変える必要があるんだそうです。
この型にいれて、成形して乾燥させて、窯へ。
これが、素焼き前の状態。
リブの多さと、精巧さがやっぱりすごい。
そして、釉薬を塗って焼いたあと、
お湯が出てくる穴の部分は、サイズが決められているので、全て測って確認して。
サイズが合わない場合は、修正して再度焼くのだそうです。
例えば、小さい場合は、コンクリートドリルで穴を空けて、また釉薬を塗って調整、、といった感じで。
すごく手間が、、、
ちなみに、このドリッパーが出来上がるまでは、
何度も試行錯誤があったそうで、様々な形状を試したそうです。
できあがるまでの試行錯誤
様々なリブの形を試し、、
最初は、四角いドリッパーはどうか、、という提案もあったんだとか。
面白いです。
そしてですね、形状はもちろん、美しい白と質感にもこだわっていて。
有田焼きというと、うっすら青みがかった感じのイメージなんですが(左側のような)
ブルーボトルコーヒーのドリッパーって、少しだけベージュがかったというか
優しい絶妙な色合いなんですよね。
こうして満を持して完成したドリッパー。
ドリッパー1つでもどういう想いで開発され、
どうやって作られているのか現場を知ると、愛着がグンと湧きますね。
そうそう、ブルーボトルコーヒーでは、ドリッパーのみならず、ペーパーフィルターも独自に開発しています。
このペーパーフィルターは、竹の繊維で30通りぐらい紙の配合を試したりされたそうで。
ドリッパーの形状に合わせ、ウェーブ状になっているのが特徴で、フィルターは折る手間もなく、
また、きめ細やかな竹パルプを適切な割合で配合しているため、湯通しの必要もなし。
このペーパーフィルターですね、
素人じゃ見ただけで、材質の良さというのはさすがに分からないですが、形状が結構独特なんです。
特に底はドリッパーよりも結構狭く、
フォルムは、縦に長い印象。
ブルーボトルコーヒーのドリッパー使う時は、このフィルターが必須のような気がします。
最後に余談ですが、
久保田さん、製造の依頼を受けた際試行錯誤してドリッパーができあがって、
最後に、「このマークをドリッパーにつけてください」というマークを見て
これが、ブルーボトルコーヒーのドリッパーだと知ったんだそうです。
すごい、笑。
今回、取材させてくださった久保田稔製陶所 久右ヱ門の久保田さん、ありがとうございました。
開発までのこだわりや製造する上での技術や、手間、
こういうのを知ってドリッパーを使うと、なんだか毎日のドリップが、より特別なものになりますね。
大切に使っていきたいです。
この記事を書く上で、開発などについて、快く教えてくださったブルーボトルコーヒーの方へも、心から感謝です。
ありがとうございました。